起業・開業の手続き完全ガイド|開業届1ヶ月・青色申告2ヶ月・インボイス登録の期限管理【2026年版】
個人事業の開業手続きは 「①開業届の提出(1ヶ月以内)→ ②青色申告承認申請(2ヶ月以内)→ ③社会保険の切替(会社員からの場合・14日以内)→ ④インボイス登録(必要時)→ ⑤労働保険(従業員雇用時)」 の順で進めます。 本記事は 国税庁・中小企業庁の公式情報 をもとに、青色申告65万円控除を確実に取るための期限管理を整理しました。
| タイミング | 手続き | 場所 | 期限 | 主な書類 |
|---|---|---|---|---|
| 開業から1ヶ月以内 | 個人事業の開業届 | 住所地の税務署またはe-Tax | 1ヶ月以内 | 個人事業の開業・廃業等届出書 |
| 開業から2ヶ月以内 | 青色申告承認申請 | 住所地の税務署またはe-Tax | 2ヶ月以内 必須 | 所得税の青色申告承認申請書 |
| 会社員からの起業時 | 健康保険の切替(任意継続/国保/扶養) | 協会けんぽ/市区町村役場/扶養者の勤務先 | 退職翌日から20日/14日以内 | 資格喪失証明書 |
| 会社員からの起業時 | 国民年金への切替 | 住所地の市区町村役場 | 退職翌日から14日以内 | 年金手帳 |
| 必要時 | インボイス(適格請求書発行事業者)登録 | 税務署またはe-Tax | 適用日の前日まで | 適格請求書発行事業者の登録申請書 |
| 従業員を雇う場合 | 労働保険(労災・雇用保険)の加入 | 労働基準監督署・ハローワーク | 雇用開始から10日以内 | 労働保険関係成立届 |
| 家族を従業員にする場合 | 青色事業専従者給与に関する届出 | 税務署またはe-Tax | 開業から2ヶ月以内 | 青色事業専従者給与に関する届出書 |
| 翌年2/16〜3/15 | 初の確定申告(青色) | 税務署またはe-Tax | 翌年3月15日 | 確定申告書・帳簿一式 |
起業・開業の手続きで最初にやるべきことは?
起業の手続きで最優先は、①個人事業の開業届の提出(開業から1ヶ月以内)と、②青色申告承認申請(開業から2ヶ月以内) です。青色申告承認申請の 2ヶ月の期限を逃すと、初年度は最大65万円控除を受けられず白色申告となり、節税効果が大きく下がります。開業届と同時に提出するのが鉄則です。
会社員から起業する場合は、「税務」「社会保険」「労働保険(従業員雇用時)」「インボイス(取引先による)」 の4ジャンルの手続きが並行します。退職と起業のタイミングによっては、健康保険・年金の空白期間を作らないよう注意が必要です。
私(北野)も起業時に freee開業 や マネーフォワード開業 を活用しました。質問に答えるだけで開業届と青色申告承認申請書が自動生成され、e-Taxで一気に提出できます。書類作成のミスを大幅に減らせるのでおすすめです。
個人事業の開業届はいつまでに、どこに出せばいいですか?
個人事業の開業届は 事業を開始した日から1ヶ月以内 に、住所地を管轄する税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。e-Taxでオンライン申請 も可能。提出しないことへの罰則はありませんが、青色申告承認申請のために事実上必須 です。手数料は無料。
提出方法(3つ)
- e-Tax:マイナンバーカードと対応スマホ/ICカードリーダーで完結
- 会計ソフト経由:freee開業・マネーフォワード開業から作成・送信
- 窓口・郵送:国税庁サイトから様式をダウンロードして印刷
記入のポイント
- 屋号:任意。後で変更可能だが、屋号付きの銀行口座を開設するなら最初から決めると便利
- 事業の概要:簡潔に。例「Webサイト制作・Webコンサルティング」
- 給与等の支払の状況:従業員がいなければ「無」でOK
開業届の控えは 事業用口座開設、創業融資、補助金申請 などで使うので、必ず保管しましょう。e-Taxの場合は受付完了通知をPDFで保存。窓口提出の場合は、提出時に 控えに収受印を押してもらう ことを忘れずに。
青色申告承認申請はいつまでにすべきですか?
青色申告承認申請は 開業日から2ヶ月以内(その年の1月1日〜1月15日開業の場合はその年の3月15日まで)に税務署へ申請します。最大65万円の特別控除 を受けるため、開業届と同時に提出するのが最も効率的。青色申告は 複式簿記での記帳が必要 ですが、会計ソフトを使えば難しくありません。
青色申告のメリット
- 最大65万円の特別控除(複式簿記+e-Tax申告で65万円、複式簿記のみ55万円、簡易簿記10万円)
- 赤字の3年繰越控除:その年の赤字を翌年以降3年間の黒字と相殺可能
- 青色事業専従者給与:家族への給与を全額経費にできる
- 30万円未満の少額減価償却資産の即時償却
記帳に必要なもの
会計ソフト(freee会計、マネーフォワード クラウド確定申告、弥生会計など)が事実上必須です。月額1,000〜3,000円程度。複式簿記の自動仕訳 機能があれば、毎日の入出金を入力するだけで仕訳・決算書まで作成できます。
2ヶ月の期限を逃すと、その年は 白色申告となり65万円控除を受けられません。翌年3月15日までに青色申告承認申請をすれば翌年から青色申告に切り替えられますが、初年度の節税効果(10万〜数十万円相当)を失います。
インボイス(適格請求書)登録は必要ですか?
インボイス登録は、事業の取引先(顧客)が課税事業者で、インボイス(適格請求書)の発行を求められる場合 に必要です。個人消費者相手のビジネスや、年間売上1,000万円未満で免税事業者として続ける場合は不要。慎重に判断しましょう。登録すると課税事業者となり、消費税の納付義務が発生します。
登録すべきケース
- 取引先が 法人や個人事業主の課税事業者 で、請求書にインボイス番号が必要
- 取引先から登録を求められた
- すでに 売上1,000万円超 で課税事業者になる予定
登録不要なケース
- 顧客が 個人消費者中心(飲食店、美容室、フリマアプリでの販売など)
- 取引先が免税事業者(小規模個人事業主)中心
- 売上1,000万円未満で 免税事業者の有利さを優先 したい
登録の流れ
税務署またはe-Taxで「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出。登録には1〜2ヶ月かかるため、適用したい日の前日までに余裕を持って申請しましょう。
BtoB(法人相手)が中心の業種は 登録しないと取引から外される リスクがあります。BtoC(個人消費者相手)中心の業種は 登録しても価格に転嫁できず損する ことがあります。取引先の業態と税負担を試算してから判断 しましょう。
従業員を雇う場合の労働保険手続きは?
従業員を1人でも雇う場合、労災保険(労働基準監督署)と雇用保険(ハローワーク)への加入が義務 です。雇用開始から10日以内 に「労働保険関係成立届」を労働基準監督署へ提出します。家族のみを雇う場合は労働保険は不要(青色事業専従者給与の届出のみ)です。
労災保険(労働者災害補償保険)
事業主が 全額負担。年1回の概算・確定保険料の申告納付が必要。労働基準監督署で手続き。
雇用保険
1人でも被保険者がいれば加入義務。週20時間以上働く労働者が対象。ハローワーク で「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を提出。
社会保険(健康保険・厚生年金)
個人事業の場合、従業員5名未満なら任意適用(業種により異なる)。5名以上または法人の場合は強制加入。年金事務所で手続き。
法人設立と個人事業主、どちらがいいですか?
売上1,000万円未満や立ち上げ初期は個人事業主 が手続き・税負担とも有利です。売上が大きくなる、社会的信用が必要、節税効果を狙う場合は法人設立 を検討。法人設立は最低6万円(合同会社)〜20万円(株式会社)の初期費用がかかります。判断の目安は 年間利益500〜800万円 あたり。
法人化のメリット
- 所得税ではなく 法人税(実効税率約23〜34%)。高所得時に有利
- 役員報酬を経費にできる
- 退職金制度・社宅制度などの節税策が使える
- 社会的信用 が高く、大企業との取引や融資が受けやすい
- 有限責任(株式会社・合同会社):個人資産との分離
法人化のデメリット
- 設立費用:株式会社20万円〜、合同会社6万円〜
- 赤字でも法人住民税の 均等割(年7万円程度) が発生
- 社会保険(健康保険・厚生年金)の強制加入
- 決算・申告が複雑、税理士費用が増える
合同会社という選択肢
株式会社より 設立費用が安く(最低6万円)、ランニングコストも低い 合同会社が、1人会社・小規模ビジネスでは人気です。役員は「業務執行社員」と呼ばれます。
よくある質問
個人事業の開業届はいつまでに出せばいいですか?
事業を開始した日から 1ヶ月以内 に、住所地を管轄する税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。e-Taxでオンライン申請も可能。提出しないことへの罰則はありませんが、青色申告承認申請のために事実上必須です。
青色申告承認申請はいつまでにすべきですか?
開業日から 2ヶ月以内(その年の1月1日〜1月15日開業の場合はその年の3月15日まで)に税務署へ申請します。最大65万円の特別控除を受けるため、開業届と同時に提出するのが最も効率的 です。
インボイス登録は必要ですか?
事業の取引先(顧客)が課税事業者で、インボイス(適格請求書)の発行を求められる場合は登録が必要です。個人消費者相手のビジネスや、年間売上1,000万円未満で免税事業者として続ける場合は不要。慎重に検討しましょう。
社会保険はどう切り替えればいいですか?
会社員を辞めて個人事業主になる場合、健康保険は「任意継続(最長2年)」「国民健康保険」「家族の扶養」の3択、年金は「国民年金(第1号被保険者)」への切替が必要です。退職翌日から14日以内 に市区町村役場で手続きします。
法人設立と個人事業主、どちらがいいですか?
売上1,000万円未満や立ち上げ初期は 個人事業主 が手続き・税負担とも有利です。売上が大きくなる、社会的信用が必要、節税効果を狙う場合は 法人設立 を検討。法人設立は最低6万円(合同会社)〜20万円(株式会社)の初期費用がかかります。
会社員から起業する場合の社会保険切替は?
会社員を辞めて個人事業主になる場合、健康保険は 「任意継続(最長2年)」「国民健康保険」「家族の扶養」 の3択、年金は 「国民年金(第1号被保険者)」への切替 が必要です。退職翌日から14日以内 に住所地の市区町村役場で手続きします。空白期間を作らないよう、退職前から準備を進めましょう。
健康保険の3択(詳細は 退職の手続き 参照)
国民年金への切替
市区町村役場の国民年金窓口で「第1号被保険者への種別変更届」を提出。保険料は月額16,980円(2025年度)。所得が少ない年は 免除・猶予制度 が利用できる場合があります。
小規模企業共済を検討
個人事業主向けの退職金制度。掛金は全額所得控除(年最大84万円)になるため、節税効果が大きい。月1,000円から始められます。独立行政法人 中小企業基盤整備機構 が運営。